「肩甲骨発勁」について(備忘録的メモ)
「肩甲骨発勁」について、友人とのやり取りメモ。
私の解釈。
①いわゆる「肩甲骨発勁」とは、主に肩甲骨の外転の動きを用いての打撃である。
②筋肉としては、主に前鋸筋(補助として小胸筋)が使われる
③肩甲骨の動きのみなので、肘の伸展動作が必要ない。
④肘の伸展動作がないため、対人では相手に先端(拳や掌など)が完全にくっついた状態でも打撃を加えることができる。
⑤肩甲骨の動きができるのみでは打撃力が小さい。
⑥中国武術の基本の中には肩甲骨の動きを重視しているものが多くある。
⑥については通背拳の伸肩法が有名で、故・蘇昱彰先生も雑誌の連載で形は違うが同様の練習を紹介していた。
他にはU流のN氏が福昌堂のフルコン誌やビデオで紹介していたのと、自成道の時津賢児先生も前鋸筋を重視した独自の腕立て伏せを教えていた記憶。
なお、前鋸筋の外転動作=前鋸筋の短縮性収縮である。
友人の意見。
①「肩甲骨発勁」とは肩甲骨の縦回転の動きを用いての打撃法である。
②最初にこの方法を発表したのは程聖龍氏である。
③その後に、この方法をパクった人が続出した。
補足として「肩甲骨の縦回転の動き」とは、主に肩甲骨の上方回旋のことで外転動作と共に前鋸筋の働き。
私の感想。
私自身の記憶だと、この「肩甲骨の縦回転の動きを用いての打撃法」をやっていたのが喧嘩芸時代の骨法の「透し」や高岡英夫氏のDS「アーダー」ぐらい。
余談だが、高岡氏の理論はスポーツなどで充分に身体を鍛えた人ならば「ゆる」のような脱力系の方法論が機能するものの、自分の身体も支えられない筋力の人が取り入れても無駄になると見ている。
あとは私が習った吉峯康雄先生で、合気柔術だけでなく会の練習に取り入れていた台湾の唐手道の基本(十大天堽)などにもこの理論(平子俊明先生の影響か?)を用いて説明していた。
打撃ではないが、合気上げで相手が自分の両手を掴んできた時に、肩甲骨の操作で支点をずらし相手の圧力を受けない方法がある。
私の実感としては、相手が常に一方向の力を使ってくれるのなら何とかできるものの、多方向に対応する相手だと先を取られ逆に押さえられる。
何度も書くが、重大な欠点は肩甲骨の動きのみでは力がなさすぎることである。
肩甲骨を動かせても肩と腕の正しい位置をキープすることなど、(相手の力をずらす前に)相手に力を伝えることができるロスが出ない自分の身体を作らないといけない。
合気上げの練習そのものにはいくつかの目的があるが、肩や股関節、頭や脊柱・骨盤など身体の正しい位置がわかると相手に押さえつけられても軽く返せるだけの大きな力が出せることを学ぶことが含まれる。
それに体重の操作が加われば、異論はあろうが佐川派における透明な力と同じだし、また勁力と言ってもよいと思う。
更に、この力を動きを小さくして多方向に出せるようにすれば、意拳の站樁における王郷斎先師の方法論とあまり変わらない。
(※力抜きの合気については別の理論になる)
by rakuchin-dou
| 2020-01-27 02:36
| 雑感
|
Comments(4)
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tiger-hawk at 2020-01-28 22:24
前鋸筋の短縮性収縮なんですか? だから気持ち悪い動きなんですね。勉強になりました。そして、前鋸筋のところで体幹が切れてしまう。
肩甲骨発勁する人は、鉄牛耕地ができなくなります。これも前鋸筋のところで体幹が切れてしまう。
肩甲骨発勁する人は、鉄牛耕地ができなくなります。これも前鋸筋のところで体幹が切れてしまう。
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rakuchin-dou at 2020-01-29 03:00
tiger-hawk 様
大変言いずらいのですが・・・
前鋸筋の伸長性収縮が起こっている時は、腕立て伏せだと(肘を中心に)腕を伸ばした後に肘を曲げていき同時に肩甲骨が内転(肩甲骨を脊柱に引きつける)していく時の状態で、鉄牛耕地も動作と効果は違えど同じことが起こっています。
わかりやすい例えだと、筋トレのダンベルカールで肘を伸ばした姿勢のスタンバイから肘を曲げる動作は上腕二頭筋の短縮性収縮で、その後肘を伸ばし元の位置に戻す過程の時に起こっているのが伸張性収縮です。
以前お会いした時に「ブログに書かれている『ヒラメ筋の伸長性収縮』とは自分の体重がヒラメ筋を伸長させているとして、前鋸筋を伸長させる要素は何ですか?」という質問をしましたが、藤松先生が示した動作は肩甲骨の外転動作でした。
肩甲骨の外転動作は、通背拳の伸肩法で腕を前方に伸ばす動作と同じで、肩甲骨の外転動作とは前鋸筋の短縮性収縮です。
また、普通のパンチの動作は肘の伸展動作を伴いますが、これは上腕三頭筋の短縮性収縮です。
私の説明がわかりにくい時は、ネット等で各筋肉の伸長性収縮について調べてください。
大変言いずらいのですが・・・
前鋸筋の伸長性収縮が起こっている時は、腕立て伏せだと(肘を中心に)腕を伸ばした後に肘を曲げていき同時に肩甲骨が内転(肩甲骨を脊柱に引きつける)していく時の状態で、鉄牛耕地も動作と効果は違えど同じことが起こっています。
わかりやすい例えだと、筋トレのダンベルカールで肘を伸ばした姿勢のスタンバイから肘を曲げる動作は上腕二頭筋の短縮性収縮で、その後肘を伸ばし元の位置に戻す過程の時に起こっているのが伸張性収縮です。
以前お会いした時に「ブログに書かれている『ヒラメ筋の伸長性収縮』とは自分の体重がヒラメ筋を伸長させているとして、前鋸筋を伸長させる要素は何ですか?」という質問をしましたが、藤松先生が示した動作は肩甲骨の外転動作でした。
肩甲骨の外転動作は、通背拳の伸肩法で腕を前方に伸ばす動作と同じで、肩甲骨の外転動作とは前鋸筋の短縮性収縮です。
また、普通のパンチの動作は肘の伸展動作を伴いますが、これは上腕三頭筋の短縮性収縮です。
私の説明がわかりにくい時は、ネット等で各筋肉の伸長性収縮について調べてください。
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tiger-hawk at 2020-01-29 05:16
ご教示ありがとうございます。肩を伸ばすのは間違いだった。だから含胸抜背も伸肩法も必要なかった。崩拳も単把も肩を伸ばしてはいけない。といったことが自然に理会できていたところでした。今後もよろしくお願いします。
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rakuchin-dou at 2020-01-30 02:17
tiger-hawk 様
個人的な感想ですが、普通の人は体幹と上肢帯の分離が出来ないので伸肩法の様な練習も良いかと。
ただし、それだけだと打撃が当たった時に支えられず威力が弱くなるため、直後肩甲骨を固定する前鋸筋だけでなく後ろ側の僧帽筋中部下部や先端の肘から先の筋肉も鍛える必要があると思います。
この目的の練習が鉄牛耕地だと理解しています。
個人的な感想ですが、普通の人は体幹と上肢帯の分離が出来ないので伸肩法の様な練習も良いかと。
ただし、それだけだと打撃が当たった時に支えられず威力が弱くなるため、直後肩甲骨を固定する前鋸筋だけでなく後ろ側の僧帽筋中部下部や先端の肘から先の筋肉も鍛える必要があると思います。
この目的の練習が鉄牛耕地だと理解しています。
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