人気ブログランキング | 話題のタグを見る

らくちん道への道

霊術家の黄金時代



内容紹介
明治末から昭和初めにかけて出現し、病気治しや催眠術、健康法、霊との交流などに活躍した霊術家たちの破天荒な生涯と共に、その歴史的な意味を探る。催眠術で病気を治す清水英範、気合いで病気を治す浜口熊嶽、屈伸運動の健康法を開発した坂本屈伸、鎮魂帰神の浅野和三郎等々。西洋医学と科学に対する対立軸として、裏の医術として代替医療家的な役割を果たし、急激な近代化によって失われていった日本的なる者たち。彼らはどのような社会的・文化的背景の中で歴史に登場し、去って行ったのか。


著者の井村宏次先生は、霊術、気、超能力の研究で有名。

今年の2月に亡くなられていたのは知らなかった。
謹んでお悔やみ申し上げます。

追悼 井村宏次さん逝く ビイング・ネット・プレス編集部日誌 様


私が業としてる東洋医学や日本で独自の発展をした整体、アメリカ初のカイロプラクティックやオステオパシーは個人的には素晴らしいと感じているが、現代日本では代替(補完)医療は名前の通りあくまでも西洋医学を補完する立場でいた方が良いという考えである。

私のオカルト好きは単なる趣味である。

しかし、明治後期~昭和初期に流行した“霊術”については代替医療に関わっている人には知っておくべき歴史だと思う。

明治初期の「修験道廃止令」前までは、修験者(山伏)が里を周って加持祈祷や呪術、薬草などで病気の治療を行っていた。

この修験道に伝わっていた様々技術と明治大正に輸入されたオステオパシーやカイロプラクティックなどの療術、またはそれ以前にブームになっていたが当局から禁止されていた催眠術(明治41年「催眠取締令」)などが混じりあって霊術が出来上がり流行した。
その後、当局からの度重なる取り締まりに「療術」と名を変えたが、昭和初期に医師法違反で「療術取締令」となり衰退した。

中村天風先生に影響を与えたウィリアム W.アトキンソン(ヨギ・ラマチャラカ)のニューソートやアメリカのクリスチャン・サイエンスが元ネタであろう手当療法もこの時期。

参考:青本の諸相


霊術家は一攫千金を狙う人も多かったので、当時は団体も300程あったらしく本も多数出版されていた。
現在でも、一部は八幡書店などで復刻本が読むことが出来る。

今のスピリチュアル・ブームと同じで基本は商売なのだけれども、ツールとしては役に立つものもあるとは思うので興味があれば一度読んでみることをおすすめする。
ぶっちゃけ、この時期に既に今やってる事の元ネタになることは大体行われていると思う。

少し前になるが、複数の流派の先生がセミナーで国家資格である鍼の免許を持っていない人向けに、イメージを使った指の鍼を使う施術法を教えていると聞いたが、こういうのも既にこの頃にやっている先生がいる。

実際は、指を使わなくとも鍼のイメージでも効果は出せる。
(※全ての人に効くわけではない)

イメージだけで何故相手の痛みが取れたり病気が改善するのかは、現代でもはっきりは解明はされていない。

イメージが重視され霊術の核の一つである催眠術においても、桑原俊郎(天然)という霊術家は催眠術を使って他人の結核や腎臓病など数々の病気治療で効果を出した。
だが、自分が罹った結核は治せず33歳と言う若さで亡くなってしまった。

参考:能力者 その5 自律神経失調症を癒す外気功療法~外気功佐倉院 様




「代替医療のトリック」という批判本ではプラセボ以上の効果は無いとされるのだが、プラセボでもなんでもその人が良くなれば方便としては有効だとは思う。

しかし、代替医療の人達が相手の病気にどこまで介入して良いかは大変難しい。

参考:『代替医療解剖』文庫版訳者あとがき by 青木薫


整体・薬院らくちん堂




by rakuchin-dou | 2014-05-02 22:31 | 最近読んだ本 | Comments(7)
Commented by rakuchin-dou at 2014-05-02 22:33
あとは、大本教の隆盛と衰退や元大幹部で日本のスピリチュアルの父といわれる浅野和三郎と大霊術団体だった太霊道についても歴史的には重要。
Commented by 望月元晴 at 2014-05-02 23:14 x
代々医療のトリックという本は面白そうですね。超常系も含めて、これからも様々な本を紹介していただけると嬉しく思います。
Commented by rakuchin-dou at 2014-05-03 02:43
望月元晴 様

コメントありがとうございます。

「代替医療のトリック」は日本では2010年発売ですが、当時は関係者では結構話題になっていました。

今は同じ内容で安い文庫版「代替医療解剖 (新潮文庫)」が出ています。

この本では、鍼灸をはじめ代替医療業界が謳う治療効果についてはほぼ全否定されていますね。

カイロプラクティックは腰痛程度には効くような書き方でしたが、利益より危険性の方が上回ると書かれています。

この本の日本での反響は欧米よりは少なかったと思いますが、イギリスでは皇太子がテコ入れしていたホメオパシーの保険適用が厳しくなったり、アメリカのパーマー大学でもカイロプラクティックの哲学の授業がカリキュラムから大幅に削られたりしています。

EBM(根拠に基づいた医療)がより重視されるということです。
Commented by 望月元晴 at 2014-05-03 22:41 x
まだ入手できていないのですが、そこまで手厳しい本なのですね。

さらに詳しい情報を、本当にありがとうございますm(__)m
Commented by 鍼灸好き at 2014-05-04 17:46 x
はじめまして。

私根っからの鍼灸好きですので、最初本屋でこれを読んで頭に来てしまいました。

まあ只、冷静に考えるとポイントをどこに置くかで変わるのかなあ? と考えると読めなくもないのか? とも思います。

結局違いを表せる鍼灸師の先生を特集すれば、読者も全然印象が変わるだろうしレベルの低すぎる人を見れば、当然また変わるであろうし。

私のかかりつけの先生などは、治療前に易学で占ってからわざわざ施術するので、まああれをいきなり見たら何だと思うでしょうからこういう本が出て反響が起きるのは、仕方ないって言ってしまえばしかたないんでしょうが・・・・
Commented by rakuchin-dou at 2014-05-05 01:47
望月元晴 様

>手厳しい本

一応、患者や利用者側の利益を考えてということなんですけどね。
代替医療側がはっきりとしたデータが出せないのも理由です。

日本の場合は、医療と代替医療をあわせた統合医療が上の人達の新たな利権と考えられているようですから、国として手厳しいことにはならない感じではありますね。

TPPの今後を含めてどうなっていくかは注視する必要はあると思います。
Commented by rakuchin-dou at 2014-05-05 01:55
鍼灸好き 様

コメントありがとうございます。

>私根っからの鍼灸好きですので、最初本屋でこれを読んで頭に来てしまいました。

腕の良い先生に出会えている方は、当然思うでしょうね。
実際良くなっている訳ですしね。

>ポイントをどこに置くか

あの本では科学的根拠を重視していますね。
例えば、いわゆるツボの効能は本に載っていますが、同じツボを名人が使っても素人が使っても本来は同じ効果が出ないとおかしいという考え方です。
もし同じ効果が出せないのなら、何が違うのか?ということです。

昔、井穴刺絡療法(安保福田理論の元ネタとされる)を行う医師の浅見鉄男先生から「鍼灸は科学ではない!」断言されたのを直接聞いていて、とても頭に残っています。

鍼灸好き様のかかりつけの先生は“易”を使われるのですね。
積聚治療の先生かな?
変わったところでは、昔働いた職場の院長は星占いをしてました。
何故か効果を出していました(笑)
脈診でも凄い先生はいらしゃいますけど、やっぱり客観的データは出せないというのはあります。

福岡市中央区今泉の整体・鍼灸院のブログ。仕事関係より読んだ本の感想がほとんど。
by らくちん堂
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

最新のコメント

また、オレンジの虚言書込..
by 通りすがり at 10:59
通りすがり さま ..
by rakuchin-dou at 10:49
オレンジは精神病人 世の..
by 通りすがり at 17:32
らいおん 様 お久..
by rakuchin-dou at 19:55
私もようやく見てきました..
by らいおん at 11:34

最新のトラックバック

検索

ライフログ